ピアノの調律師さん

来ました。

ここ数週間、あちこち調べたり話をしたり、一人日本人の方もいらっしゃったのですが、タイミングが合わず、大手音楽ショップ、「トム・リー」のテクニシャンを派遣していただきました。

先ず、このピアノが調律するに値するコンディションにあるか、など大まかなところを見てください、とお願いしました。

「はい。」と一言発した後、即仕事に。マシューさんという方、技術屋さんにありがちな寡黙な方か、という印象を受けました。

「かなり古くて、ピッチが下がってるんですが、通常まで上げた場合、ストリングがその引きに耐えられなくて、もしかすると切れる、切れた場合、弾いている時にすごい音がするってことですが、そういうことになりかねませんが、いいでしょうか。」

すっぱり診断してくれるところ、いいじゃない〜、と思いました。

「ええ、それでお願いします。」

もちろんお仕事中、「写真〜写真〜」なんてことはせず、邪魔にならないよう静かにしていました。写真は同じメーカーMson & Risch、アップライトの調律の様子をグーグルの画像からお借りしました。 

グランドピアノであれば、演奏する時も上を開ければ、中は見られるのですが、


こんな感じに。

アップライトの中を見るのは、初めてでした。

「フェルトもだいぶ古くなって硬くなってるので、音がちょっとメタリックな感じになっちゃいます。部分部分で弦が弱くなってるところは、できる限りでの調律を行いましたので、弾いていて音程がしっくりこない部分もあるかと思いますが、それは調律ミスじゃなくて、そのようにわざとした、ということでご了承ください。」

「さっき、オフィスから電話があったようですけど、お忙しようですね。」

「ええ、この時期は。私はピアノも教えてるんで、子供達が夏休みから帰って来て、またレッスンを再開したり、、。」

「あ、ピアノの先生でもいらっしゃるんですね。どんなピアニスト、作曲家がお好きですか。」

「ショパンです。」

「ああ、そうですか。私はラベルとリストかな。音大受験前はそれはものすごい量の練習をしてましたけど、これからは、老化防止に、と思って。」

「それは、いいアイディアですね。とっても。(おいおい、そこは、「まだまだお若いじゃありませんか」とかフォローするところじゃないんかい?)実は、ピアノも勉強しましたけど、バイオリンを主に専攻したんです。ピアノじゃ食べていけませんからね。」

「そうそう、バイオリンだったらオーケストラのメンバーになるっていう手もあるし。」

ピアノ調律と、ピアノ教師、もちろんバイオリンも教えてるんでしょう。音楽だけで食べていけている、ラッキーで珍しいケースだと思います。

カナダの習慣で未だに慣れない/好きになれないチップですが、今日はちょっとはずみました。


「で、音大がダメで、その後どうしたんですか?」

「日本語を専攻して、今は日本語を教えてます。」

「そうですか。じゃ、別の言語に移ったわけですね。音楽も一つの言葉ですから。」

「本当に。全く、そうですね。」

寡黙かと思ったマシューさん、音楽の話になったら、もう、話す、話す。

その後、早速ダウンタウンのTOM LEEの店舗に行き、楽譜を買ってきました。

このピアノ、モカのキャット・タワーからやっと本来の姿に。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • lisuchan

    2017.08.20 02:38

    @danielanきょう、ちょっとピアノをひきました。リストとショパンとサティをひきました。 I bet your brother is a natural, better musician than I. I was O.K. technically, but something was missing. That was why the university didn't want me. They were able to see that. It is really like other languages. I knew all the grammar, and didn't execute it well to communicate. I really enjoyed the talk with this tuner, Matthew. He melted when he talked about Chopin. It was genuine. BTW, Tom Lee didn't have any David Bowie scores made for piano. Next time when I go to Tokyo, I have to find it there.
  • danielan

    2017.08.19 15:05

    Looking forward to listening to you play. As a teenager I would have loved to learn to play the piano, and the Prince Charming I dreamed of meeting one day would have been a musician, because I thought that music was a magic language and those who knew it were special people. Never met that prince in the end, and it was my brother who had the talent to find his way into that magic world even without any lessons. I just play for myself now that I have a piano, and will never be a virtuoso, but enjoy it anyway.